当診療所で提供している発達障害障害外来についてのお問い合わせ、ご予約窓口をご案内します。
ご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
毎月第二木曜日(お電話でご予約下さい)
・9時から10時まで、臨床心理士による検査と発達相談
・10時から12時まで 医師による診察
発達障害障害は100人に数人の割合で生じます。
発達障害は脳機能障害の一種で先天的な特性であるため、
根本的な治療はありません。
しかし、適切な支援で症状を改善することができます。
発達障害は通常低年齢において発現するものと定義されていますが、以前では診断がつかなかったり、問題が表面化しないよう本人が努力する等して発達障害と診断されず成人を迎える場合があります。就職してから問題が表面化し不安症やうつ症状を合併することもあります。
大人の発達障害の人々は、今さら何をしても変わらないと諦めてしまいがちですが、発達障害の症状は改善することができます。大人の発達障害を専門に扱う医療機関はまだ少数ですが、当院では大人の発達障害外来を設置しています。
早期に発達障害が診断されれば、適切な療育により症状を改善し、社会へ適応する力を伸ばすことができます。このように成人で100人に数名発達障害の方がおられ、社会で悩まれているのが現状です。最近は療育の進歩もあり、早期に発達障害が見つかっても、成長を支援すれば、社会で立派に暮らせることがわかりつつあります。
発達障害者支援法が平成17年4月に施行され、障害者差別解消法が平成28年から施行されました。
・Ⅱ 発達障害のある子どもの早期からの支援
・障がい者差別解消法ってなに?
そこで当院でも発達障害の小児期での診断にも貢献し発達支援に取り組みたいと考えています。発達障害診断外来を設置しました。
基本形(幼児から成人対象)
予約外来を行い、あらかじめ詳細な問診調査票をいただきます。
もちろん当院でも、身体障害者手帳(肢体 言語 高次脳機能障害)・自立支援医療費(精神通院)指定医療機関・精神障害者保健福祉手帳の申請記載は可能です。
また療育の支援と紹介、就労支援と紹介にも相談可能です。
また、障害者自立支援法に基づく障害区分の申請はかかりつけ医で可能ですが、もちろん当院でも行います。
発達障害は医学的には脳機能障害の一種です。発達障害の人は他の人とコミュニケーションをとったり、暗黙のルールを守ったり、集中関心を保ったり、ミスや抜け漏れなく社会生活を送ったりすることに困難を感じる場合があります。 発達障害についてまとめると以下のようになります。
しかし適切な支援で症状を緩和させることは出来る。
またADHDなど薬物治療で効果があるものも存在します。
発達障害そのものは、幼少時から存在しその程度と療育環境から様々な年代で社会的に軋轢が生じたりして見つかるものです。また程度によって、個性として捉えるべき状態もあります。
大人の発達障害と言うと、子供の時は何もなく突然大人になって発症する病気と考えておられる方が少なくありません。医療関係者までそのように考えておられることもあり、驚かされることがあります。決して突然発症しているわけではありません。環境要因とも合わせて、社会との関係で大きく問題となった時に、大人の発達障害についても、よくご存知の一般の方や医療関係者を通じて診断できる医師を紹介され診断されていきます。
それまでは、適応障害や気分障害やうつ病などと診断されている現状があります。
最近、発達障害の研究が急速に進歩していますが、以前には診断がつかず、しかもなるべくそのような診断を受けたくない諸要因もあり、うやむやになったままで成長された方がおられます。その中の多くの方は、社会で普通に活動されていますが、成人になって社会との適応が難しいことから、大人の発達障害と診断がつくようになってきました。そういう意味で、子供の時期に専門医にしっかり見てもらっておくことと大人も子供も診断できる先生が貴重になってきています。
特に自閉症スペクトラムについてはDNAレベルの研究が進んでいます。それによると遺伝子ですべてが説明できるわけではありませんが、大きく遺伝要因が関与していることがわかってきました。
発達障害に関連する遺伝子は200とも400ともいわれますが、発症までのメカニズムはまだわかっていません。例えば自閉症の兄弟がいる場合、もう一人も自閉症である場合は発症率が高まるという研究結果が出ています。ただし遺伝子がまったく一緒のはずの一卵性双生児の場合でも、一人だけが発達障害の傾向がみられることもあります。つまり遺伝要因以外にも原因が考えられるということです。
環境要因の仮説として環境要因があげられます。親の年齢、出産時の合併症、妊娠時の食事、汚染からの影響などが考えられています。今後、遺伝要因と環境要因がどのように絡んで発症に至るのかが徐々に解明されていくと思われます。
何よりも重要なのは発達障害は先天的(生前)であり、後天的(生後)の要因ではないこと。また先天的だからといって100%遺伝するというわけでは決してなく、複雑で複数の要因が絡んでいるものだということです。
診断は基本的にDSM?Ⅴに基づいて行われます。
DSMとは、アメリカ精神医学会(APA)が作成しているDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:精神障害の統計・診断マニュアル)のことです。バージョンによって最新がバージョン5になっているので、DSM?Ⅴと言います。
アメリカの精神医学会で作成されたDSMが、世界共通の精神障害(精神疾患)の診断基準として広がってきました。特に、『カテゴリー診断学』を導入したDSM-Ⅲ(1980年)とDSM-Ⅲ-R(1987年)からです。
カテゴリー診断学というのは、簡単にいえば『各精神障害の症状や特徴を列挙した一覧表』を作成して、その症状や特徴のうち○個以上が当てはまっていればその精神障害だと診断することができるという誰もが使えるように工夫された『マニュアル診断』のことである。
DSM-5では、実は発達障害は、さらに大きな分類の神経発達障害にまとめられました。
精神障害と発達障害は、DSM-Ⅳでは、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」というカテゴリーにまとめられていましたが、DSM-5では「神経発達障害」にまとめられました。
神経発達障害にまとめられた精神障害と発達障害は、次のとおりです。
という分類になっています。
神経発達障害(Neurodevelopmental Disorders)の下位分類としてコミュニケーション障害(Communication Disorders)がありますが、典型的なコミュニケーション障害の一種とされるのが『言語障害(Language Disorder)』です。そこで一つ付け加えさせてください。
私のベースは、脳神経外科ですが、小児脳神経外科の分野で、よく来られました。
3歳児ごろに、言語発達が遅れているとのことで来院され、圧迫性のクモ膜嚢腫が見つかり手術により改善されるケースもありました。
その中で、発達障害の方もおられました。比較的気づきとして多い主訴ではないかと考えています。
言語障害における言語には『話し言葉・書き言葉・サイン言語(手話など)』が包摂されています。聴覚障害者の言語障害までカバーする基準になっています。
DSM-Ⅳからの変更点としては、言語障害の『表出型(言語の理解はできるが表現が上手くできない)』と『表出受容型(言語の理解も表現もどちらも上手くできない)』の区別が廃止されていることです。それは、『表出型』は児童期以降に自然に言語を獲得して話せるようになるケースが多いため、言語障害のカテゴリーから外されてしまったからです。
男の子は、口よりすぐに手が出てしまう。とか言われることもありますが、私の経験から、男の子は女の子に比べて表出言語がの発達が遅いようにも思えることがあります。それが事実かは別にして、年齢相応に充分に言語を理解しているのであれば、区分にも入らないということで、私は、なるほどと思いました。
会話音声障害(Speech Sound Disorder)というのは、音声言語を上手く発音・発声できないために会話が障害されるという内容であり、DSM-Ⅳにおける『音韻障害』とほぼ同じ発達早期に発症する構音障害として理解されているものである。発達早期に発症する『流暢性障害(Childhood-onset Fluency Disorder)』とは、話し言葉を流暢に話すことができず、言葉がつかえたりどもったりするという障害です。DSM-Ⅳ以前の一般的に『吃音(きつおん,Stuttering)・どもり』と言われていた症状です。
DSM-5で新設されたコミュニケーション障害として『社会的(語用論的)コミュニケーション障害(Social(Pragmatic) Communication Disorder)』があります。
このコミュニケーション障害は『自閉症スペクトラム』の診断とある程度重複するものと考えられています。社会的コミュニケーション障害というのは『社会性・対人関係の障害』を意味しているわけです。
一方、語用論的コミュニケーション障害というやや耳慣れない障害の名称は、『言語の未獲得の障害』ではなく『言語の使い方の障害(言語は獲得して覚えているがそれを適応的に使いこなすことができない障害)』ということを示唆しています。少しややこしくなりましたので、これくらいにして、自閉症スペクトラムと並ぶ形でコミュニケーション障害群があり、区別して考えることがより一層大事だと思います。
DSM?5にも出てくる分類の中で一般的には発達障害は
の3種類に分かれます。
広汎性発達障害という診断名は現在も重要な診断名です。しかし新しい分類では、大きな枠にまとまりました。それが自閉症スペクトラムです。
DSM-5では、DSM-Ⅳまでの広汎性発達障害は以下の大きな2つのカテゴリーだけに一括してまとめられる運びとなった。
以下のA,B,C,Dを満たしていること。
A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の3点で示される)
B:限定された反復する様式の行動、興味、活動(以下の2点以上の特徴で示される)
C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。
D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。
ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)の日本語訳は今まで『注意欠陥・多動性障害』とされることが多かったですが、近年は“欠陥”というネガティブな意味合いのある語感を嫌ってということもあり、『注意欠如・多動性障害』という訳語が定着してきているようです。
DSM-ⅣとDSM-5の診断基準の項目には目立った変更はありませんが、DSM-5では『子供の発達障害としてのADHD』の印象を弱めて、『青年・成人でも発症することがあるADHD』という“年齢にとらわれない障害(どの年代の人でもなり得る障害であること)”を強調しています。ADHDの症状の発現年齢は、7歳以下から12歳以下へと引き上げられており、17歳以上の人の診断基準が緩和されて『下位項目を5つ満たせば良い』ことになっています。
ADHDの重症度の区分として、『軽度(mild)・中等度(moderate)・重度(severe)』の区別も設定されている。
A1: 以下の不注意症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。
A2: 以下の多動性/衝動性の症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。
B: 不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは12歳までに存在していた。
C: 不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは2つ以上の環境(家庭・学校・職場・社交場面など)で存在している。
D: 症状が社会・学業・職業機能を損ねている明らかな証拠がある。
E: 統合失調症や他の精神障害の経過で生じたのではなく、それらで説明することもできない
このうち
ADHDについては治療薬も数種類現れています。当院でも治療経験から、仕事勤めができなかった方が、うまく社会に打ち解けられ立派に働かれておられるようになった経験などを持っています。
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私の経験は乏しいのですが、限局性学習障害についても書かせていただきます。
A.学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1つが存在し、少なくとも6ヶ月間持続していることで明らかになる。
B.欠陥のある学業的技能は、その人の暦年齢に期待されるよりも、著明にかつ定量的に低く、学業または職業遂行能力、または日常生活活動に意味のある障害を引き起こしており、個別施行の標準化された到達尺度および総合的な臨床消化で確認されている。17歳以上の人においては、確認された学習困難の経歴は標準化された評価の代わりにしてよいかもしれない。
C.学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにはならないかもしれない(例:時間制限のある試験、厳しい締め切り期間内に長く複雑な報告書を読んだり書いたりすること、過度に思い学業的負荷)。
D.学習困難は知的能力障害群、非矯正視力または聴力、他の精神または精神疾患、心理社会的逆境、学業的指導に用いる言語の習熟度不足、または不適切な教育的指導によってはうまく説明されない。
これらの分類に基づき診断に近づきますが、すぐに診断ができるわけではなく、経過を見続ける場合や更に専門的な病院を紹介することがあることをご承知ください。